3.競争のルールが変わった

インターネットの活用というと、単なる集客だと思っている人はまだ多いのではないでしょうか。しかし、それは活用の一面に過ぎません。インターネット活用の本質は、消費者の行動変化への対応です。
インターネットの登場によってあらゆる業界で消費者の行動が変化しました。いまや、すべての商品、サービスの購入の決定において、消費者はインターネットの情報を参考にしています。

たとえば、これまで不動産屋は駅前にあることが優位性でした。駅前にあることが選ばれる理由そのものだったのです。しかし、インターネットの活用が浸透した今、消費者はネット上で物件を探し、その物件を扱っている不動産屋に足を運びます。つまり、いまや駅前にあることはまったく優位性ではなくなってしまったのです。
しかし、いまだにそれを理解できない不動産屋は、「当店は駅前にあります」というウェブサイトを作り、情報を発信します。しかし、消費者はそこに優位性を感じません。このように、インターネットが登場する前と後で競争のルールは変わってしまったのです。

消費者は、インターネットで貴社と競合他社の情報を収集します。そこで得た情報によって、貴社の、そして他社の優位性を確認し、判断し、行動を決定しています。
最終的な注文、契約、問い合わせは、来店、来社、電話によるものかもしれませんが、消費者は、事前に貴社のウェブサイトにアクセスし、貴社と他社を比較した上で行動しているのです。

多くの企業は集客や価格競争を課題と考えますが、本当の課題は選ばれる理由が無いことです。インターネット時代の消費者の行動変化への対応が不十分だということです。集客や値下げで一時的に課題を解決できたように見えても、本当の課題を解決しない限り、近い将来また同じ課題に突き当たるでしょう。

最初にすべきは、インターネットの登場により、自社の顧客の消費行動がどのように変化したのかを知ることです。つまり、新しい競争のルールを理解することです。
つぎに、新しい競争のルールにのっとって、競争優位性を獲得するための戦略を考えてみましょう。