16.初めに小さな成功を

イノベーションを起こそうとすると、かならず社内に善意の抵抗勢力が現れます。これは失敗を避けるための組織の機能ですから、必ずしも悪いことではありませんが、全社一丸となってチェンジしようとするときにはマイナス要素となり得ます。

だからこそ、イノベーションを起こすときは、出来るだけ短期間で、成功の兆しを見せ、安心してチェンジに取り組んでもらえる雰囲気をつくることが必要です。小さなテストを行い、成果をだし、その成果をしっかりと組織に周知徹底する。これによって、明るい未来が共有でき、イノベーションへの抵抗は減ります。

15.差別化ではなく差別的優位点

お客様に選ばれるためには、競合他社との違いが無ければなりません。しかし、違っていれば良いというわけではなく、お客さまから見てその違いが「価値」と感じられなければ選ばれる理由にはなりません。

たとえば、年配者向けの健康食品の会社が、お客様に選ばれるために、成分としてビタミンCを加えたとします。大は小を兼ねると言いますから、まったく同じであるよりも、追加で何らかの成分が入っていた方が、選ばれやすいと感じるかもしれません。しかし、お客様の立場になってみれば、いま期待している健康効果に近いものでなければ、価値とは感じにくいものです。差別化は出来ましたが、差別的優位点にはなっていない、ということです。

当たり前のことのようですが、この違いに気付きにくいのは、お客様のニーズが変わった時です。たとえば、かつて不動産屋は同じような物件を扱っていても、駅前にあることで利便性と言う差別的優位点で勝負していました。しかし、最近では、ネットで物件を探す方が増え、以前は優位点であった「駅間にある」という立地は優位点ではなくなったのです。顧客の変化により優位性とみなされる価値も変わるということです。

14.値段が高いのではなく、価値が足りない

継続的に利益が出ていないお客様には、まず値上げを提案します。しかし、値上げに抵抗がある経営者さんはとても多いです。「高くすると売れない。」「当社の消費が売れないのは高いから。だから値上げをするともっと売れなくなる。」そんな意見を良く聞きます。

しかし、「高い」というのは何と比較して高いのか。同じ商品を販売している競合他社がいたとしても、より良いサービスを提供することで、高くても買ってもらえることがあります。また、似たような商品でも、少しでもオリジナリティ、他社との違いがあるのであれば、そこに価値を見出してくれる方なら、その分高くても買ってくれるでしょう。

つまり、高くても、それ以上に価値があれば買ってもらえるのです。つまり、「高いから売れない」というのは、「競合他社より高いから」ではなく、「商品の価値より高いから」という意味です。それなら、やらなければならないのは商品の価値を磨くことではないでしょうか。

13.見積もりは語る

見積もりが嫌いな方は多いでしょう。その理由は、良好な関係を築きたいクライアントに対して、見積もりという作業は利害の綱引きに思えるからでしょう。仲良くしたい人に嫌な思いをさせる。言いにくいことを言わなくてはならない。そう思っている人は、おそらく費用だけを見積もっているのだと思います。

本当の見積もりは、まず成果を見積もり、次にそれに必要な費用を見積もるのです。お客様に言われたことをする作業者の視点だと、ついついお客様に言われた通りにするための費用だけを見積もってしまいがちです。お客様は、成果が見えず、費用だけを提案されると、お客様は極力費用を抑えたいと思うのです。しかし、お客様に貢献しよう、という視点で仕事を受けるなら、まずはお客様にどう貢献できるか、成果の企てから入ります。その結果、ベストな成果を出すための費用の提案が可能になります。お客様は、より良い成果のために費用が増えるのであれば、そのほうが良い、と思うのです。これが貢献を見積もる、と言うことです。

そういう視点で見積もりをするなら、見積もりは成果を決める重要なステップであり、またお客様に対して、「自分は言われた通りにするのではなく、お客様にとってもっともよい選択肢を提案したいのだ」という価値観が伝わります。これによって信頼が生まれ、一歩成功に近づくのです。見積もりを見るだけでその人の価値観や姿勢が伝わるのです。

12.コンサルタントは挨拶も商品

コンサルタントの仕事は経営者にアドバイスをすることだ、と思う方が多いでしょう。しかし、経営者からは、経営者以外の社員や、社外のパートナーへの好影響も期待されています。社長がコンサルタントと契約して、毎月打ち合わせをしている、となると、必ずどの会社でも議論が巻き起こります。「どんな人だろう」「なぜ必要なんだ」「自分たちでは足りないのか」など。必ず周囲からの注目を浴び、何者なのか、それだけの費用を払う価値がある人なのか、という査定の目で見られます。

社員の皆さんと直接お話をする機会があれば、自分が来た意味、提供できる価値についてご説明でますが、必ずしもそこまでの機会を与えられるわけではありません。そんな場合でも、少ない接点でも、良い影響を与えられるように努めます。クライアント企業を訪問するときの服装、あいさつの仕方、電話を掛けるときの言葉遣いなど、多少の接点や、見ていただく機会があります。そういうところでも、「社長が連れてくるだけあって、ちゃんとした人だな」と思ってもらえなければなりません。そういう思いを持っていただけるよう、あいさつで語る、背中で語る、振る舞いで語る、という意識が必要です。コンサルタントは挨拶も商品なのです。

11.ターゲットを絞り込む 戦略が動き出す

事業をつくるということは、価値をつくるということです。モノをつくれば必ずしも価値が生まれるわけではありません。ビールが飲みたい人にジュースを与えても価値を感じてもらえません。価値とは、特定の誰かにとっての価値であって、万人に共通の価値と言うのはありません。

だからこそ、事業の枠組みである戦略を立てるときに最初に考えなければいけないのは、「ターゲットとなるお客様は誰か」と言うことです。普通は常日頃から接しているお客様の中で特定のタイプの方をイメージしたり、自分自身の経験から、「こんなときにこんなモノがあればいいのに」といった具合に、ターゲットをイメージします。

これが出来ないと、戦略を立案するのは難しいのです。良くある失敗は、ずっと長い間同じようなお客様に同じような価値を提供している場合です。従来のお客様は自社の提供する商品やサービスに満足しているからこそお客様で居続けれくれるわけです。だから、ついつい「自社の商品への満足度は高い」と思ってしまいがちです。しかし、実際は満足している人しか買っていない、と言うだけです。また、卸業や、代理店の下請けをしていると、お客様と直接接することが無いため、お客様が自社の商品に満足してくれているかどうか、買ってくれているのはどんなタイプのお客様なのか、などが見えなくなってしまいます。

この状態が長いと、戦略を立てるためのお客様理解(市場のニーズの分析)に時間がかかってしまいます。そんなときは、とにかくお客様に会いに行くことです。

10.ウェブプロフェッショナルはゼネラリストであれ

ウェブサイトの重要性はますます高まっています。あらゆる業界、企業、あらゆるサービスに関連し、ウェブサイトを意識せずにすすめられるビジネスは無いと言えるほどです。つまり、ウェブは事業の根幹、経営の根幹と結びついているのです。

だからこそ、ウェブに関するプロフェッショナルは、ウェブ業界だけを見るのではなく、大局的な視点を持ち、あらゆる業界、企業、サービスに対して最適な活用を提案できるようになった欲しいものです。しかし、もともと少ないコストで始められるウェブマーケティング会社、ウェブ制作会社は、少人数の会社が多く、事業領域もとても狭い会社が多いようです。

だからこそ、いま経営が語れるウェブプロフェッショナルが求められています。ウェブ専門家の価値が高まるかどうかも、経営に貢献できるかどうかにかかわっています。だからこそ、ウェブプロフェッショナルはゼネラリストであるべきなのです。